地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地域消費喚起
・生活支援型)による事業の実施状況についての報告書(要
旨)
1 検査の背景
国は、平成20年度から27年度までの間に、地方公共団体が「経済危機対策」(平成21 年4月「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚合同会議決定)等(以下 「経済危機対策等」という。)に対応した事業を円滑に実施して、地域活性化等の速や かかつ着実な実施を図ることを目的として、十の交付金を交付している。
これらの交付金のうち、平成26年度一般会計補正予算による地域活性化・地域住民生 活等緊急支援交付金(地域消費喚起・生活支援型)(以下「緊急支援交付金」とい う。)は、内閣府が27年2月に定めた地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地域 消費喚起・生活支援型)制度要綱(平成27年府地創第22号。以下「制度要綱」とい う。)によれば、地方公共団体が「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」(平成 26年12月閣議決定。以下「緊急経済対策」という。)に対応し、地域における消費喚起 やこれに直接効果を有する生活支援を推進するための事業を実施するために作成した地 域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地域消費喚起・生活支援型)実施計画(以 下「実施計画」という。)に基づく事業に要する費用に対して交付することにより、緊 急経済対策の速やかかつ着実な実施を図ることを目的とするとされている。
内閣府は、緊急支援交付金のための予算額2500億円のうち2495億余円を交付行政庁と なる総務省に移し替えており、総務省は、地方公共団体が作成した実施計画に基づく事 業に要する費用に対して、緊急支援交付金を26、27両年度に交付している。
緊急支援交付金の交付対象事業は、地域における消費喚起を推進するための事業(以 下「地域消費喚起型事業」という。)と、地域における消費喚起に直接効果を有する生 活支援を推進するための事業(以下「生活支援型事業」という。)とがあり、主に個人 に対する直接の給付事業を対象とするとされている。そして、地域消費喚起型事業は、 消費者の自己負担を伴うことにより助成費用の数倍の消費を喚起することになるもので あるとされており、内閣府は、消費喚起効果が高いものとしてプレミアム付商品券事業、 ふるさと旅行券事業及びふるさと名物商品事業を行うことを推奨している。また、生活 支援型事業は、消費者の自己負担による消費喚起効果がないものであるとされており、 多子世帯等支援策、低所得者等向け商品・サービス購入券事業等が例示されている。
い手法を地域の実情に合わせて最大限工夫するよう求めるなどとともに、公平性等に留 意するよう求めている。
そして、制度要綱によれば、地方公共団体は、緊急支援交付金事業の実施に伴う効果 について検証して、内閣総理大臣に報告することとされている。
内閣府は、緊急支援交付金について、交付対象事業は国として推奨する施策等を例示 するという形にとどめ、事業の実施については地域の実情等に応じた地方公共団体の判 断に広く委ねることとしているなど、地方公共団体の裁量に委ねると同時に、効果検証 等、事業・施策の実施責任を求めるものとしていることが大きな特徴であり、緊急支援 交付金を通じて、回復の遅れる地方の消費の喚起等が各地方の実情に応じて的確に進め られることを期待するものであるとしている。
また、緊急支援交付金事業の実施に当たっては、緊急経済対策の速やかかつ着実な実 施を図るとともに、新規の消費喚起効果を高めることに留意するよう求められているの が特徴となっている。
そこで、会計検査院は、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、409地方公共 団体において、緊急支援交付金事業は制度要綱等の趣旨に沿って適切かつ効率的、効果 的に実施されているか、効果検証として行われる消費喚起効果の測定は適切に実施され ているかなどに着眼して検査を実施した。
2 検査の状況
ア 交付金交付額に対して助成費用以外の経費が占める割合(以下「事務費割合」とい う。)は、プレミアム付商品券事業17.7%、ふるさと旅行券事業24.5%、ふるさと名 物商品事業35.0%となっており、ふるさと名物商品事業では事務費に充当された緊急 支援交付金の割合が他の事業より高くなっていた。
ないものと考えられる自動車の車検費用やプロパンガスの使用料等の支払に利用され ていた事態、利用限度額を設けていなかった33地方公共団体において一部の利用者が プレミアム付商品券を大量に入手して高額な商品の購入に充てていた事態等も見受け られた。
ウ ふるさと旅行券事業については、割引分の助成費用の実施計画上の額に対する実績 額の割合(以下「計画実績比」という。)は全体として96.1%となっていた。また、 出張等の仕事での利用者の割合が60%となっていた事業も見受けられた。
エ ふるさと名物商品事業については、計画実績比は全体として78.3%とふるさと旅行 券事業より低くなっており、中には、ふるさと名物商品の販売が低調であったため結 果として事務費割合が高くなっていた事業も見受けられた。また、自主事業分の人件 費に対して緊急支援交付金が充当されていた事例も見受けられた。
オ プレミアム付商品券等の販売代金のうち未換金相当分である余剰金はプレミアム付 商品券事業、ふるさと旅行券事業及びふるさと名物商品事業全体で計5億7171万余円と なっており、地方公共団体や補助先等に留保されているものもあった。
カ 生活支援型事業のうち低所得者等への支援として商品券を給付する事業で、27年度 における利用実績が把握できなかったり、利用期限が設定されていない商品券を給付 したため消費喚起効果の全てが必ずしも27年度中に発現しないものとなっていたりし ているものや、その他の生活支援型事業で、26年度以前においても毎年度地方単独事 業として実施していたものを緊急支援交付金事業として実施していた事態が見受けら れた。
キ 効果検証として行われる消費喚起効果の測定のためのプレミアム付商品券事業に係 る消費者向けのアンケートにおいて、アンケート結果の集計対象とする有効回答を選 別するための取扱いが地方公共団体により異なっていたり、アンケート項目の設定が 適切でなかったりなどしていて、消費喚起効果を正確に把握することができないなど の状況が見受けられた。
3 所見
付金事業の効果検証等を行うことが求められている。
ついては、内閣府において、緊急支援交付金事業の効果について検証を行うとともに、 今後同種の地域における消費喚起やこれに直接効果を有する生活支援を目的とする事業 を実施する地方公共団体が負担する費用に対して支援を行う場合には、緊急支援交付金 事業の実施結果を踏まえ、各地方公共団体の裁量を尊重しつつも、事業の実施に当たり、 次の事項について、より具体的な方策を地方公共団体に対して示すなどして、地域にお ける消費喚起等の推進に向けた事業が適切かつ効率的、効果的に実施されるよう、的確 に支援を実施していくことが重要である。
ア 地域における消費喚起を目的とする事業については、プレミアム付商品券等の利用 対象となる商品やサービスの範囲、利用条件、販売方法等について、新規の消費喚起 効果を高めるものとなるようにすること。また、公平性等の面からプレミアム付商品 券等の購入限度額や利用限度額等の設定が適切に行われるとともに、運用においても 実効あるものとなるようにすること
イ 生活支援を目的とする事業については、給付する商品券の利用期限を適切に設定す るなどして、消費喚起効果が速やかに発現するものとなるようにすること
ウ 事業の効果測定のためのアンケートを実施する場合には、集計対象とする有効回答 の取扱いを適切なものとするなどして、事業の効果を適切に把握し集計することがで きるようにすること